【一覧リストあり】月末日の退職は損?退職する時にチェックすべきこと

転職面接の場で、特にそれが採用の可能性が高い面接ならば必ず尋ねられるのが「いつから勤務できるか」という質問だろう。

もしもすでに転職先への採用が決まっているのであれば、退職日をいつにするかは現職での退職交渉において必ず事前に考えておくべきだ。

しかし、例えば月末と月の半ばに退職する場合では何が違うのか、自身にとって楽で有利な退職タイミングはいつかなどを正しく知っている会社員は少ない。

給与や通勤交通費、控除されている社会保険料や住民税など、普段は総務や人事部門に任せきりのことがほとんどだが、転職のタイミングでは自分の責任で確認する必要があるだろう。

一方で、損や失敗のない手続きを最少の手間で出来ればそれに越したことはないのだが、税金や社会保険などの制度は一見複雑で分かりにくいのも実情だ。

そこで、総務、人事部門で15年以上の経験を持つ筆者が、特に注意すべき月末に退職する場合の注意点と、手続きのポイントを解説する。

さらに、何となく難しく敬遠されがちな税金や社会保障の手続きを中心に、チェックリストにして用意した。

自分自身である程度のところまで理解したら、最適な退職日を選び、出来る限り最少の手間で損やリスクを回避して欲しい。

もし、転職の引き止めにあっているけど、円満に退社したいと思っている人は下記記事をご覧いただきたい。

円満退社のために!転職の引き止めにあった時に穏便に終わらせる方法

これで円満退社!退職日を決めるポイント

転職するあなた自身も、また転職先企業も現職を円満退社することを望んでいるはずだ。

円満退社とは、現在の職場と転職する本人両方にとって納得でき、面倒ではなく、感情的にもすっきりした退職と言い換えることができるだろう。

退職日に関するルールや考え方は複雑なようだが次のように考えると分かりやすい。

  • 法令上定められた手続きやルール
  • 法律にはないが会社が決めているルール
  • 習慣、慣例、感情的なマナーやエチケット

退職にあたって考えなければならないことが出てきたら、それがこの3つのうちどれに当てはまるのかを知っていれば解決することも難しくはない。

これらを押さえておけば円満退社になるはずなので詳しく解説していこう。

絶対に確認しておくべき「就業規則」

法令上10名を超える会社は就業規則を作成することになっており、ほとんどの会社に備えられている。

就業規則とはその会社で働く社員が入社してから退社するまでのルールを決め、まとめたものだ。

最低限の法令上のルールと会社のルールが併せて記載されているので、退職するにあたっては必ず確認しておこう。

退職に関する代表的なものは次の通りだ。

  • 退職の届出はいつまでにするか
  • 給与や退職金について
  • 業務の引継ぎ、競業禁止、機密保持、賠償責任など

一般的な退職の届出は「1か月前までに」

退職の届出は退職日の1か月前までに、というのが一般的な就業規則だ。

円満退社のためには就業規則上定められた届出の期限を守ることをおすすめする。

法令上は「退職の意思表示から2週間で退職できる(労働契約が解除となる)」と言われており、確かにこれは正しい。

現職がブラック企業ですぐに辞めたい、または辞めさせてくれないなどの非常事態であればそう主張してすぐに辞めることをおすすめする。

しかし目指すのが円満退社であれば、出来る限り会社のルールに沿って退職を進めることが原則だ。

給与や退職金について

給与や退職金については就業規則と別に「給与規程」や「退職金規程」となっていることが多い。

就業規則には「退職金規程による」としか書いていない場合があるので、その規程も確認しておこう。

特に確認しておくべきは、給与の締め日と支払日、賞与の支給要件、退職金の要件の3点だ。

退職するタイミングによって賞与の支給から外れたり、給与が日割りになったりする場合がある。

直接お金にかかわる部分だけに正しく把握しておく必要があるだろう。

業務の引継ぎ、競業禁止、機密保持、賠償責任など

退職に関する項目では、業務の引継ぎ、競業禁止、機密保持義務、賠償責任などが記載されているが、これも原則としてはルールを守った方が良いだろう。

しかしこれらはいずれも任意で定められた会社のルールだ。

競業禁止とは、現職と同業界同業種への転職を一定期間禁止する、というもの。

また、機密保持は現職で知り得た情報を退職後も漏らさないこと、賠償責任は自身が現職に与えた損害は退職後に発覚しても賠償の責任があるということをいう。

これらは確かに裁判になった例もあるが、よほどの事情がない限りはさっと目を通しておくだけで良いだろう。

業務の引継ぎは、出来る範囲で誠意をもって対応することと、「業務引継書」などの記録や手順書にして後任と上司に渡せば円満退社はほぼ間違いないはずだ。

退職日は給料の締日に合せるのがベスト

給与規程で自分が「月給制」であることとその締め日を確認したら、退職の日付はそれに合わせるのが正解だ。

そうすることによって会社の人事や給与事務の担当者も面倒が少なく印象が良い。

また、社会保険料は月単位で計算され、日割りはないということを押さえてこう。

社会保険とは、健康保険、厚生年金、労働保険、雇用保険の4つが基本で、40歳以上になると介護保険が加わる。

例えば15日締めの月給制でちょうど月末日に退職すると、給与は1か月分の半額となるが社会保険料は1か月分となる。

30万円の給与から保険料3万円が控除になる場合なら、15万円の給与から3万円の控除という具合だ。

転職先が希望する入社日に合わせることも大切だが、出来る限り面接や内定後の交渉で給与締め日になるように調整したいところだ。

退職日を月末日に設定するとき気をつけること

退職日が月末日になった場合に気をつけなければならないのは、社会保険料のルールだ。

これは実際に人事、給与担当の中でも間違いが起こりやすいため正しく理解しておくことをおすすめする。

まず原則として次の5つを押さえて欲しい。

  1. 社会保険料に日割りはなく月単位で徴収される
  2. 社会保険料は「前月分」を給与から徴収することになっている
  3. 社会保険の「資格喪失日」は「退職日の翌日」となる
  4. 社会保険料は「資格喪失日の属する月の前月分」までを納める必要がある
  5. 月末日に在籍していることが社会保険の被保険者の要件

月末日に退職した場合

(例)5月31日に退職した場合
①社会保険の資格喪失日は6月1日となる
②5月31日に在籍しているため5月は社会保険の被保険者
③6月の給与から社会保険料の5月分を徴収することになる
⇒5月分の支給が終わっている場合、徴収することができなくなってしまう

このようなことが起こるため、法令では最後(5月支給)の給与から2か月分(4月分と5月分)を徴収してよいことになっている。

退職を1か月以上前に申し出て、これらの手続きを正しく行ってもらうこと、控除された額を給与明細でチェックしておくことが大切だ。

月末日の1日前に退職した場合

(例)5月30日に退職した場合
①社会保険の資格喪失日は5月31日となる
②5月の給与から社会保険料の4月分を徴収することになる
③5月31日に在籍していないため5月は社会保険の被保険者ではなくなっている

この場合、一見すると5月分の保険料を納める必要がなく得しているように見える。

しかし日本の法令上、健康保険と年金は必ず加入しなければならない原則がある。

社会保険の被保険者ではない5月分からは最低でも国民健康保険と国民年金に加入し、保険料を納める必要が出てくるため要注意だ。

退職する時にチェックしておきたいポイント

就業規則を確認することと、月末日に退職する場合の社会保険の注意点はこれで理解できたのではないだろうか。

ここでさらにチェックリストを使って退職する際に確認しておくべきことを確認しよう。

職場によって給与の締め日や賞与支給の要件が異なるため共通でないこともあるが、会社のルールと併せてチェックしてみて欲しい。

退職手続きチェックリスト

区分チェック項目チェック
退職届1.上司に退職を申し出る⇒退職日を決める⇒「退職届」の提出
健康保険2.自分と扶養家族の「健康保険被保険者証」を返却する
健康保険3.空白期間が出来る場合、「任意継続」か「国民健康保険加入」かを決める
雇用保険4.「離職証明書」が必要かを確認して、必要であれば会社に申し出る
所得税・住民税5.住民税の徴収方法を会社に申し出て手続きをしてもらう
所得税・住民税6.退職金があれば「退職所得の受給に関する申告書」を記入して会社に提出
その他7.「退職証明書」が必要かを確認して、必要であれば会社に申し出る
その他8.仮払金や貸付金の精算を終わらせる
その他9.確定拠出年金や財形貯蓄の切り替え手続きをする(会社にしてもらう)
10.その他に会社から受け取るもの、会社に提出・返却するものをチェック
会社から受け取るものチェック会社に提出・返却するものチェック
雇用保険被保険者証IDカード・社員証・社章・名刺など
源泉徴収票会社から貸与されていた制服やパソコン
年金手帳(会社に預けている場合)業務関係の書類、経費で購入した事務用品
解雇予告通知書(会社都合の場合など)

健康保険の任意継続と国民健康保険への加入

健康保険は必ず加入する制度のため、現職の退職日と転職先の入社日に1か月分の間隔が空く場合に考える必要がある。

例えば5月31日に退職して6月16日に転職先に入社するような場合は、社会保険の加入期間が途切れないので読み飛ばしてもらって構わない。

前出の例のように5月30日に退職した場合などは、社会保険の加入期間に空白が出来るため手続きが必要だ。

この手続きをしなくてもいいように、現職の退職日と転職先への入社日の間に、保険の空白期間を作らないことをおすすめする。

国民健康保険への加入

社会保険の資格喪失日から14日以内に市区町村の窓口で国民健康保険加入の手続きが必要だ。

  • 健康保険の資格喪失証明書
  • 退職証明書
  • マイナンバーカード
  • 本人確認書類

これらの書類が必要となる。

社会保険の任意継続

一方で社会保険を個人で継続することも可能で、これを「任意継続」(ニンケイ)という。

資格喪失日から20日以内に会社の加入する健康保険組合か、自分の住所を管轄する全国健康保険協会(協会けんぽ)へ届け出る。

会社負担だった分も自身で払うので保険料は2倍近くなるが、家族の状況によっては国民健康保険より得になる場合がある。

また、社会保険による給付(傷病手当金など)を受けている場合などは任意継続によって引き続き同じ給付を受けることができ、状況に応じて協会事務所などに問い合わせることをおすすめする。

社会保険の給付には、被保険者である期間が一定以上継続していることが要件になっている場合があるため、万が一を考えるなら任意継続しておいた方がいいだろう。

「離職証明書」が必要となるケース

正確には「雇用保険被保険者離職証明書」といい、ハローワーク(公共職業安定所)に提出するためのものだ。

これも、現職の退職日と転職先の入社日を1週間以上空けないようにすれば不要だと考えてよい。

これは失業給付金の支給を受けるために必要だが、1週間の待機期間の後に受給対象期間となり、就職すると支給を止めることになっている。

手続きの手間と受給できる失業保険を考えて、無職の期間が出来てしまうようであれば届出をしておいた方が良いだろう。

原則として、自己都合退社の場合は会社に申し出が必要で、ハローワークへも自身で手続きをすることが必要だ。

その他の手続きと気を付けること

所得税と住民税については重要なので別に解説しよう。

まずはその他の手続きや注意点を見ていきたい。

「退職証明書」が必要となるケース

退職証明書は会社が任意に発行する証明書で、「離職証明書」とは異なるため注意が必要だ。

必要となるケースは次の2つか、その他から提出を求められた場合と考えてよい。

  1. 国民健康保険への加入
  2. 転職先の会社から提出を求められている場合

退職日以降に発行となるが、必要な場合は早めに申し出ておくようにしよう。

その他気をつけること

チェックリストを見ながら受け取るもの、返却するものなどを確認して欲しい。

例えば年金手帳は入社時に会社が預かる場合と、本人に返却される場合がある。

転職先への入社時には年金手帳が必要となるため必ず確認して手元に用意しておくことが必要だ。

また、会社の経費で購入したものや仕事上作成した資料などは会社に返却するのが原則だ。

たとえ小さな文房具であっても公私をきちんと分け、立つ鳥跡を濁さないようにしよう。

必ず押さえておきたい「特別徴収」と「普通徴収」

毎月の給与から控除されている税金には「所得税(源泉徴収)」と「住民税」がある。

本来はそちらも本人が納付すべき税金だが、会社員は会社の給与から天引きして納付することになっている。

中でも住民税は、会社から納付することを「特別徴収」、自身が直接納付することを「普通徴収」といい、退職した社員が何もしなければ「普通徴収」に切り替えられる。

このことを知らないために、転職して間もなく自宅に数万円の住民税の納付書が届き、慌てる会社員は少なくない。

ここでは出来る限り「特別徴収」で住民税の納付が出来る手続きを説明しよう。

退職時期によって手続きが異なる

住民税の特別徴収は6月~翌年5月というあまり馴染みのない1年の期間を単位としている。

そのため退職時期によって、会社に申し出て手続してもらう内容が異なるので注意しよう。

1月1日~5月31日に退職する場合

この期間の場合は、現職の会社へ申し出ることなく、残りの期間分が一括で徴収されることになる。

住民税の特別徴収は1年間分を12分割して毎月納付しているため、一括で徴収されると控除の金額が大きくなるため注意が必要だ。

例えば給与明細で1か月に20,000円が控除されている社員が3月に退職すると、3月~5月の徴収分、60,000円が一括で徴収される。

どちらにしても納付すべき税金なので損得はないが、知っておくべき納付方法だろう。

6月1日~12月31日に退職する場合

この期間に退職する場合も、退職者自身が希望すれば翌年5月までの住民税を一括で納付することができる。

しかし、転職先が決まっている場合は、特別徴収を転職先に移す手続きをおすすめしたい。

方法は、会社の総務など退職手続きを行う担当者へ「給与所得者移動届出書」を発行して欲しいと伝えるだけで良い。

これを受け取ったら入社手続きの際に、転職先の総務担当者などに渡して手続きをお願いする。

こうすることで従来通り、給与から月々の控除で住民税を納付することができるので、一括で控除されるようなインパクトのある出費を避けることができるはずだ。

念のため挙げておくが、この期間の住民税の納付方法は3つから選ぶことができるようになっている。

  1. 最後の給与から残りの住民税を一括で徴収して、現職の会社から納付してもらう
  2. 「給与所得者移動届出書」を、自身の住所のある市区町村に送ってもらい「普通徴収」で納付する
  3. 「給与所得者移動届出書」を発行してもらい、それを転職先へ提出して「特別徴収」を継続する

自身の都合に合わせて最も負担のない方法を選ぶようにしよう。

源泉徴収票は期限までに必ずもらう

源泉徴収票は「所得税」の納付について記載された書類で、必ず転職先に提出しなければならない。

法令で退職から1か月以内に発行することになっているため、期限までに受け取るようにしよう。

気をつけるべきタイミングは、11月~12月頃に退職、転職した場合だ。

所得税の計算は「年末調整」として12月31日を締め日にして行うため、転職先の担当者は1日も早い提出を待っている。

一方で、12月に退職して1月から転職先に入社する場合は、前職で年末調整が終わっているため、別の理由があって求められない限りは源泉徴収票を転職先に提出する必要がない。

いずれにしても必ず発行されるものなので、出来るだけ早く、少なくとも期限日までには確実に受け取るようにしよう。

転職時の税金や年金の手続きについては下記記事でさらに詳しく解説している。

未納に注意!転職する時に覚えておくべき税金や年金等の手続き

まとめ

少々複雑さのある退職時の手続きだが、ポイントを押さえて確認していけば退職前にそのほとんどを終えることができる。

ここまでを振り返ってまとめるので、自身の都合に合わせて出来る限り楽に、間違いなく手続きを進めて欲しい。

会社のルールに従って円満退社を目指す

  • 就業規則、給与規程、退職金規程を確認
  • 円満退社のためには出来る限り会社のルール通りに進めた方がよい
  • 退職日は給与の締日に合せるのがベスト

退職日を月末日に設定する時は社会保険料に気をつける

社会保険料の原則5つ

  1. 社会保険料に日割りはなく月単位で徴収される
  2. 社会保険料は「前月分」を給与から徴収することになっている
  3. 社会保険の「資格喪失日」は「退職日の翌日」となる
  4. 社会保険料は「資格喪失日の属する月の前月分」までを納める必要がある
  5. 月末日に在籍していることが社会保険の被保険者の要件

退職手続きチェックリストで気をつけるべきポイント

次の点は現職の退職日と転職先の入社日の期間を空けないことで手続きが楽になる

  • 健康保険の任意継続と国民健康保険への加入
  • 失業給付金受給のための「雇用保険被保険者離職証明書」

住民税の納付の仕方には「特別徴収」と「普通徴収」がある

  • 住民税は6月~翌年5月の1年間を単位としている
  • 1月1日~5月31日に退職する場合は原則として残り期間分が一括徴収となる
  • 6月1日~12月31日に退職する場合は次の3通りから選択する
    1. 最後の給与から残りの住民税を一括で徴収して、現職の会社から納付してもらう
    2. 「給与所得者移動届出書」を、自身の住所のある市区町村に送ってもらい「普通徴収」で納付する
    3. 「給与所得者移動届出書」を発行してもらい、それを転職先へ提出して「特別徴収」を継続する

所得税の手続きでは「源泉徴収票」を必ず期限内に受け取る

  • 特に11月~12月の退職、転職は早めに発行してもらう
  • 12月に退職して1月から入社する場合は、転職先に必要かどうかを確認する
Career Rules編集部

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