新しく仕事をはじめても、なぜだか長く続かない。気づけば数年のうちに何度も転職を繰り返している。
あなたはこんな悩みを抱えてはいないだろうか。
厚生労働省が発表した「平成27年転職者実態調査の概況」によれば、転職回数について以下のような結果が出ている。
転職回数 | 男性(割合) | 女性(割合) |
---|---|---|
1回 | 32.10% | 24.20% |
2回 | 20.30% | 17.50% |
3回 | 18.30% | 22.50% |
4回 | 11.70% | 13.60% |
5回 | 7.50% | 9.60% |
6回以上 | 9.10% | 11.60% |
不明 | 1.10% | 1.00% |
※参考:転職者実態調査(表番号6)性・年齢階級・最終学歴・現在の勤め先での職種、転職回数別転職者割合
ここでいう転職者とは、5人以上の常用労働者を雇用している事業所(小売業・金融業など日本標準産業分類に基づく16大産業)に雇用されている転職者(有効回答数6,090人)のことを指す。
女性の場合、1・3回の順に多く、男性では回数に応じて割合が減少していく一方で、気になるのは5回と6回以上の割合である。
5回に比べて6回以上の転職を重ねる人の方が男女ともに多く、全体の1割程度も存在していることだ。
また、転職活動期間については、転職活動をはじめてから前職を離職するまでの期間が
- 1か月以上3か月未満:27.2%
- 転職活動期間なし:25.8%
- 1か月未満:19.3%
の順で多かった。
離職後から現職に転職するまでの期間は、
- 1か月未満:29.4%
- 離職期間なし:24.6%
- 1か月以上2か月未満:12.5%
- 2か月以上4か月未満:10.9%
の順となっている。
注目すべきはその次に10か月以上が7.6%の割合でランクインしていることだ。
※参考:厚生労働省「平成27年転職者実態調査の概況」
上記のデータを読み取るに、転職期間が1年近くかかったり、転職回数がかなり多かったりする人がある一定数存在することがわかる。
今回は、転職を繰り返す人に見られる共通点をピックアップし、改善策について考えていきたい。
転職バッタから卒業を目指すなら、今がその時だ。
転職を繰り返す人の5つの共通点
転職をせずに長く仕事を続けている人は、世の中にたくさんいる。一方で、転職回数が多い人は短期間ですぐに辞めてしまうこともあるのも事実だ。
転職回数を重ねるごとに慣れてしまうのかもしれないが、転職を繰り返す人にはいくつかの共通点がある。
主に以下の5つが特徴的だ。
- 「これがやりたい!」と思えることがない
- 自分の能力や気持ちをよく理解できていない
- 悪いのは自分じゃない!得意分野は「責任転嫁」と「言い訳」
- 基本的になんでも飽きっぽい
- プライドが高くて常にスキルアップを求めている
どんなことにおいてもそうだが、ものごとを長く継続していくにはさまざまな努力・我慢に加え、信念・責任感なども重要な要素だ。
上記の5つの共通点について以下で具体的に解説していく。
転職回数の多さで悩んでいる人は、胸に手を当ててこれまでの自分を内省してみよう。
共通点(1)「これがやりたい!」と思えることがない
「転職をして本当にあなたがやりたいことは一体何なのだろうか?」
元面接担当だった筆者の経験上、面接の際にこんな疑問を持ってしまったことが時々ある。
どんなことにもアグレッシブさがなく、何となくやる気が見られない場合、転職できたとしてもそう長続きしないだろう。
やりたいことが特にない人によくある口癖の一例が、以下の通りだ。
「仕事選びは主に条件であって仕事内容はなんでもいい」
「どこで何をしても気分的にそれほど変わらない」
「○○さんはいつも楽しそうで面白そうな仕事をしていていいよね」
上記の特徴がある人は、転職の目的が「仕事内容」ではない場合が多い。
条件さえよければ新しい転職先へうつりたいと思い、転職をするが仕事そのものに興味がないため、すぐに辞めてしまう。
また条件のいい職場を探して転職するものの…といったように、転職を繰り返してしまうのだ。
やりたいことがなくて仕事を転々としている人は、転職することに慣れてしまい、転職そのものを気軽にできると安易に考えている場合がある。
転職そのものに対する考え方を今一度改めるべきだ。
後半の「転職バッタを卒業するための、2つの処方箋」をぜひ読んで、実践してほしい。
共通点(2)自分の能力や気持ちをよく理解できていない
どんなことでもそうだが、自分に向いていないこと・苦手なことを継続するのは非常につらいものだ。
自分が他の人よりも優れている能力や実績、仕事に対する気持ちがよく理解できていない場合、自分が納得できる転職ができない可能性が高い。
自分自身のことがよく理解できていない場合に、耳にする口癖の一例が以下の通りだ。
「これは自分が本当にやりたい仕事じゃなかったようだ」
「○○のスキルが足りないから延ばすために転職したけど、精神的につらい」
「○○の仕事がかっこいいからチャレンジしたけど、なぜだか職場で浮いてしまう」
自分自身に向いているかどうかよりも、他の要素で転職先を選んでしまうと長続きする仕事に出会えない可能性がある。
ましてや足りないスキルを補おうとしても、苦手分野ということはそもそも向いていない分野だということを理解できていない。
スキルを高めることは大切だが、苦手なスキルよりも本来得意でスムーズにチャレンジできるスキルを伸ばした方が、得策だ。
共通点(3)悪いのは自分じゃない!得意分野は「責任転嫁」と「言い訳」
何か自分に悪いことが起きた場合、基本的に周りや他人のせいにする人は、自分が決めたこと・実際にした仕事に対しても無責任な場合が多い。
責任転嫁や言い訳が日常茶飯事な人によく見られるのが以下の口癖だ。
「はじめに聞いていた仕事内容とまったく違う。会社の説明不足が原因で自分は被害者だ」
「自分は正しいことをしたのに、○○が改悪したから全部自分のせいにされた」
「無能な上司のせいで、いつも仕事がはかどらないよ」
何かにつけて周りに全責任を押しつけることで、自分を常に正当化する。
はじめのうちは周りも同調してくれるかもしれないが、そのうち「いつも同じことをいっている」と思われるパターンだ。
周りのせいにしてばかりいると、そのうち職場でも自然と仲間が減っていき、孤立して居心地も悪くなるだろう。
さらに周りに責任をなすりつけて、結局は仕事を辞めてしまうという流れになる。
共通点(4)基本的になんでも飽きっぽい
いざ転職して働きだした最初の頃はやる気満々だったけど、気づいたら何だか現状がもの足りなくなっていた…なんてこともよく聞く話だ。
飽きっぽい性格の人に見られるのが以下の口癖である。
「何か新しいことをはじめたいんだよね」
「これからは○○の時代だから、今の仕事はもう古いよ」
「どんなことにも好奇心旺盛な性格です!」
よくいえばチャレンジ精神があって向上心があるように見えるけれど、裏を返せばミーハーで落ち着きがないともいえる。
基本的になんでも飽きやすい人は、これまで未経験だった職種にもバンバン応募することが特徴的だ。
しかし直接本人と話をしてみると、自分のどの部分がその仕事に向いているのか、どうしてその仕事をしたいのか、話に一貫性がない。
そんな浮ついた気持ちで転職をすれば、実際に仕事に就いてみた時のギャップは計り知れず、仕事が長く続かないというのも当然である。
共通点(5)プライドが高くて常にスキルアップを求めている
プライドが高すぎて常に現状よりもワンランク上を求めている人は、自然と転職の回数も多くなりがちだ。
自分に自信があるのはいいことなのだが、度を過ぎれば短所にもなる。
短所になってしまうようなプライドの高さを持つ人に見られるのが、以下のような言葉だ。
「今のフィールドでは自分のスキルを活かせないし、延ばすこともできない」
「本当は○○がいいに決まっているのに、職場の上司はなかなかこちらの意見を聞かないんだよね」
「こんな仕事は○○の能力を持つ自分がやることではない」
今持っている能力はもちろん、これからもスキルアップを求めていることはポジティブな転職を実現させることにつながる。
しかし、自分が現在の能力や実績を積むことができたのは上司や先輩・企業など周りの環境の力もあってこそ。
どんな時も謙虚な気持ちを持つことで社内での居心地もよくなり、やりたい仕事が舞い込むこともあることを覚えておこう。
転職バッタを卒業するための、2つの処方箋
もうこれ以上の転職は繰り返したくない。転職バッタを卒業するためには上記の共通点を把握したうえで、改善策を講じていくことが不可欠だ。
ここで、以下のパターンについてそれぞれ2つのポイントに着目して改善策を考えてみたい。
- 本人が転職を繰り返してしまう場合
- 身近な人が転職を繰り返している場合
転職活動では、自分自身と同様の悩みを抱えている人も多いものだ。
客観的なものの見方をすることにより、自分の悩みも解決していける道を模索してみよう。
本人が転職を繰り返してしまう場合のチェックポイント
自分自身がなぜだか転職を繰り返してしまう場合、チェックしてほしいポイントが2つある。
- 転職先をする理由について再考する
- 転職先を選ぶ際の軸がしっかりしているか
以下で具体的に解説していく。
性格的な部分以外にも転職を繰り返す原因が隠れている場合もあるため、ここで今一度転職活動について洗い出してみよう。
転職をする理由について再考する
そもそも転職をしたい理由は何なのか?それを本当の意味で理解できているだろうか。
やみくもに「とにかく転職したい」と思っている場合、転職に失敗する可能性がある。
転職したい理由として、例えば
- 現状からステップアップしたい
- 今の人間関係から解放されたい
- 新しい仕事にチャレンジしてみたい
などさまざまな理由があるだろう。
転職を繰り返す人にありがちなのが、「転職することですべてが解決される」と勘違いしていることだ。
転職すれば明るい未来が待っているわけではない。
転職とは手段であり、目的ではないことに気づこう。
転職先を選ぶ際の軸がしっかりしているか
転職してすぐに不満が飛び出す要因に、「安易に転職先を選ぶ」ということがあげられる。
そもそもあなたは転職先を選ぶ際、どんな点に注目しているのだろうか?多くの場合、現状に不満があって転職を考えているはずだ。
転職先に求める条件の一例は以下の通りである。
- 月給、ボーナスなど給与面(今よりも収入アップしたい)
- 勤務条件(残業時間や年間休日など、今よりも身体的精神的に好条件の環境で働きたい)
- 仕事内容(やりたい仕事に就きたい)
- スキルアップ(今の仕事を深めてさらなる飛躍を目指す)
- 勤務地(転勤はしたくない、もしくは現在遠方で勤めているため近場で就職したい)
人それぞれに求めるものは異なるはずだが、転職を繰り返す人にありがちなのが以下の2つである。
- ベストな条件を求めすぎているためにいつも不満ばかり
- うまくいけばいいなと思うものの、本来自分が何を求めているのか分かっていない
自分が何を求めているのか、一番の「軸」がないと、どこに勤めてもいつも不満ばかりが生じるのは当然だ。
現在転職を考えているならば、是非以下のことをやってみてほしい。
- 転職先に求める条件を全て書き出し一番外せない条件とそうでない条件を決める
- その他であげたすべての条件を優先したい順番に並べ、できれば外したくない条件、外れても許せる条件の間にラインを引く
書き出してみることで、自分が転職先に何を求めているのかがはっきりしてきたのではないだろうか?
さらに、必須条件・なくても許せる条件を把握することで、転職活動の応募先を決める際のヒントになるはずだ。
身近な人が転職を繰り返している場合のチェックポイント
自分以外の身近な人でも、転職を繰り返している人はいないだろうか。
ここでも改善策として2つのチェックポイントがある。
- 第三者からみた客観的なアドバイスをする
- 時には厳しい意見も辞さない
以下で具体的に解説していく。
「人の振り見て我が振り直せ」ということわざもあるように、周りの人の行動や悩みを共有し改善策を探ることで双方にメリットがあることも多いので、おすすめの方法だ。
第三者からみた客観的なアドバイスをする
転職をする場合、気をつけたいことは「自分の考えだけにとらわれない」ことだ。
身近な人が転職を繰り返している自分に悩みを抱えているならば、客観的な視点で見た「その人にマッチする転職先」について一緒に考えてあげるべきである。
転職を繰り返す人に見られる共通点のなかに「自分自身がわかっていない」「自分の周りの環境について主観的にしか考えられない」パターンがあるが、本当の自分に気づかせるきっかけを提供してあげることは重要だ。
身近な相手だと相手に同調することばかりに注力してしまいがちだが、あくまでも冷静に客観的な視点で相手にベストなアドバイスを送ることに心がけよう。
時には厳しい意見も辞さない
転職を繰り返す人は、「自分に甘い」「自己評価が高い」場合も多い。
自分に対して厳しい目を持っていないため、自分に不利な状況になるとついつい周りにばかりその原因を探す癖がある。
本人の考え方に問題があるようであれば、身近な存在だからこそ目をつむることなく指摘するべきだ。
ただし、相手によっては指摘のされ方によってその後の反動が大きく、関係性の悪化にもつながる恐れがある。
相手の性格を踏まえたうえで、伝え方には細心の注意を払おう。
納得いく転職をするためにおすすめな2つの方法
転職をくり返すということは、結論としては転職先に満足できなかったということだ。
自分自身が納得し、満足のいく転職を実現させるためには以下の2つに着目してみよう。
- 転職後に起こる可能性があるギャップを解消しておくこと
- 客観的な選社アドバイスを受けること
繰り返し転職する必要がないように、転職活動をしている時点であらかじめ不安を抱く原因を消しておくことは大切だ。
以下で具体的に解説していくので、転職前に「転職を成功させる道」を選んでおきたい。
(1)転職後に起こる可能性があるギャップを解消しておくこと
転職後に「こんなはずじゃなかった」と思っても、後の祭りだ。
最終的に転職先を決める前に、起こるかもしれないギャップをあらかじめつぶしておくことで少しでも安心して転職日の初日を迎えたい。
転職後にギャップが発生してしまうのは、企業側が黙っていたというトラブルを除けば「企業側にあらかじめ気になる点に対して明確な説明を求めなかった」応募者側の責任もある。
転職前に確認しておきたいポイントは、主に以下の通りだ。
- 勤務条件についての具体的確認
- 仕事内容についての具体的確認
- 企業の将来的な経営ビジョン・現在の経営財務状況など
適切な一般企業であれば、上記内容について明確に回答してくれる。逆に答えを濁すようであれば、転職するには適さない企業とも考えられる。
実際に転職する前に、悩みや気になるポイントはしっかり解消しておこう。
(2)客観的な選社アドバイスを受けること
先述したように、転職を繰り返す原因が自分ではっきりつかめていない場合は客観的な視点でのアドバイスが非常に有効だ。
転職先に応募する際、自分の考えだけで主観的に決めてしまうと転職に失敗する可能性も高くなる。
自分自身の能力や得意分野、マッチしている仕事内容をうまく選べていないとすぐに新しい仕事がつらくなってしまうからだ。
客観的な選社アドバイスとして有効なのは、主に以下の通りだ。
- 知人からの企業紹介
- 知人からのアドバイス
- ハローワークなど公的機関の活用
- 転職エージェントの活用
転職サイトでも多くの求人を探すことができるが、客観的にアドバイス・相談ができるサイトならぜひ活用してみよう。
知人からの紹介は転職後に働きやすい職場環境が得られる場合も多く、知人が周りから人望の厚い人であればなおさら好環境な可能性も高い。
チャンスがあれば周りに相談してみることも有効だ。
ハローワークなどの公的機関は中立的な立場でアドバイスしてくれるため、さまざまな視点から自分を見つめるきっかけになる。
転職エージェントは転職のプロともいえる存在であり、魅力的な求人案件、ノウハウも豊富だ。
ただし注意したいのは、転職エージェントは登録者を転職成功させることが自社の利益につながっている点である。
そのためアドバイザーがノルマ重視で、本来自分が望んでいないような転職先にうまく採用させられる恐れもあるのだ。
登録する転職エージェントを見極めるポイントとしては、主に以下の2つだ。
- 自分のスキルや実績に見合った求人案件を提示してくれているか(的外れな求人を無理に勧めてくるようであればNG)
- 登録してすぐに転職時期を急がせたり、面談日程を急がせたり、転職エージェント側の都合を押し付けてきてはいないか
転職活動はダラダラしていても有益ではないものの、転職希望者側にも諸般の事情がある。
双方がうまくコミュニケーションを取り、有益な転職ができる転職エージェントを活用したい。
まとめ
転職を繰り返す人の5つの共通点
- 「これがやりたい!」と思えることがない
- 自分の能力や気持ちをよく理解できていない
- 悪いのは自分じゃない!得意分野は「責任転嫁」と「言い訳」
- 基本的になんでも飽きっぽい
- プライドが高くて常にスキルアップを求めている
転職バッタを卒業するための、2つの処方箋
本人が転職を繰り返してしまう場合
- 転職先をする理由について再考する
- 転職先を選ぶ際の軸がしっかりしているか
身近な人が転職を繰り返している場合
- 第三者からみた客観的なアドバイスをする
- 時には厳しい意見も辞さない
納得いく転職をするためにおすすめな2つの方法
- 転職後に起こる可能性があるギャップを解消しておくこと
- 客観的な選社アドバイスを受けること
転職前に転職先企業へ確認しておきたいポイント
- 勤務条件についての詳細確認
- 仕事内容についての具体的確認
- 企業の経営ビジョン・経営財務状況
おすすめの選社方法
- 知人からの企業紹介
- 知人からのアドバイス
- ハローワークなど公的機関の活用
- 転職エージェントの活用
登録する転職エージェントを見極めるポイント
- 自分のスキルや実績に見合った求人案件を提示してくれているか(的外れな求人を無理に勧めてくるようであればNG)
- 登録してすぐに転職時期を急がせたり、面談日程を急がせたり、転職エージェント側の都合を押し付けてきてはいないか
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