内定が出ることを願って続けてきた転職活動。
念願の内定が出たのに、「ここに決めていいのだろうか…」と、急に不安になることもあるだろう。
実際、内定を受けてこのような感情になり、内定保留を検討する転職者は多い。
内定保留をすれば、内定が出たあとでも自分の気持ちを整理する時間や、他の企業と比較する時間を作ることはできる。
しかし、別の不安を感じて二の足を踏んでいる人も、いるのではないだろうか。
- 企業からの印象が悪くなるのではないか
- いつまで待ってもらえるのか
- 内定取り消しになってしまうのではないか
結論を言えば、内定保留することで企業からの印象が悪くなることはないので大丈夫。
しかし内定企業への連絡はすぐにするのが鉄則だ。
またその際、「第一志望の結果待ちなので…」というような理由を伝えるのは絶対にNG。
内定保留の「理由」で企業からの印象を損ねることがないように気をつけよう。
筆者の考える「企業の心証を損ねない理由づけ」は以下の3つだ。
企業の心証を損ねない理由づけ
- 家族に相談したいので…
- 面接を急に断ると迷惑をかけるので…
- 条件等について話を聞きたいので面談したい
内定保留をうまく活用すれば、自分の気持ちや内定企業の条件比較など、しっかり検討した上でより納得の転職ができる。
今回は、正しい内定保留のポイントや方法を全て解説しよう。
内定を保留すること自体は普通!
待ちに待った内定の連絡をもらったにもかかわらず、
- 第一志望は別にある
- あるいは条件などで不満があり、手放しで喜べない
などの理由で「本当に転職先をここに決めていいものか」と悩む転職者は多い。
しかし「内定保留」自体はごく普通のことだ。
転職者は皆、真剣に転職先を決める。
前職よりもいい職場に出会うのはもちろん、より良い企業に転職したいと思っているからだ。
採用する企業から見ても、転職者が複数の企業に応募するのは当たり前のこと。
急募の求人でなければ、ある程度の時間を想定して採用活動をおこなっているので、内定保留すること自体は問題ない。
むしろよく検討せずに入社を決め、入社後に「思っていたのと違う」と、すぐに退職される方が困るものだ。
長期間待つことは難しいが、考えるための時間くらいは待ってもらえるので、きちんと検討してから入社を決めよう。
ただし、「入社する」と入社の意思を伝えたあとに辞退するのはマナー違反。
あくまでも入社の手続きが始まる前、「内定」の段階で検討すること。
内定保留すると、入社後は働きにくくなるのか
内定保留することで、入社後に働きづらくなると思うかもしれないが、そんな事はない。
基本的に企業側も、他の企業と比べられるのは当たり前と思っているし、転職者が複数企業に応募するのも、近年ではごく普通のこと。
企業は内定を出した応募者から、内定保留される可能性も当然考えている。
内定保留されたタイミングでは、「第一志望は別の会社で、その結果待ちなんだな」と感じるかもしれないが、入社後まで「あの人は第一志望ではないけどウチにきた」なんてことは思わない。
転職者が入社を決め、一緒に働くことになったら、同じチームとして働くだけだ。
したがって、入社後に後悔することのないよう、考えたいことや検討したいことがあるなら、内定を受ける前にじっくり考えよう。
注意:内定保留により取り消しの可能性もあると覚悟しておく
しかし、中には内定保留することで内定自体が「取り消し」になる可能性も確かにある。
急募の求人や、表には出ていなくても「できるだけ早くスタッフがほしい」と思っている場合、内定保留をすると取り消しの可能性は高まる。
保留されたのちに内定辞退されたら、また採用活動をしなければならず、早く人手がほしいのに叶わなくなるからだ。
その状況を避けるためにも、内定保留を希望されたら早々に内定を取り消し、別の応募者に内定を出すこともある。
多くの企業では内定保留を申し出れば、少しの猶予はくれるが、そうでないケース もあることを忘れないこと。
「内定保留は普通」という現状ではあるが、内定取り消しの可能性も充分に覚悟するべきだといえる。
安全に検討時間を確保する!内定保留の鉄則
そこで筆者が考える、内定取り消しにならないための「内定保留3つの鉄則」を紹介しよう。
内定保留3つの鉄則
- 1日も早く伝える
- 必ず電話で伝える
- 3つ以上同時の内定保留は非常に危険
内定保留する可能性があるのであれば、この鉄則をきちんと頭に入れておこう。
(1)1日も早く伝える
内定保留することを考えたら、すぐにでもその思いを内定企業へ伝えること。
その理由は2つ。
- 他の応募者に不採用通知を送ってしまう可能性がある
- 入社に向けた準備を進めてしまう可能性がある
どちらも内定企業に迷惑をかけてしまい、企業からの印象は悪くなってしまう。
結果的に内定取り消しや、入社後に働きづらくなる可能性があるので 、1日でも早く連絡を入れるべきである。
他の応募者に不採用通知を送ってしまう可能性がある
あなたは内定保留したあと、やはり入社するかもしれないし、辞退して他の企業へ入社するかもしれない。
内定辞退された場合、企業はまた一から採用活動をやり直さねばならなくなる。
採用活動にもコストはかかるし、面接や選考のための時間も必要だ。
そのため企業としては、内定辞退の可能性も考えて他の応募者をキープしておきたい。
しかし内定を出したら、他の応募者に不採用通知を送るのは当たり前の流れだ。
あなたからの内定保留の連絡が遅くなれば、既に他の応募者に不採用通知を発送した後という状況になりかねない。
このような迷惑をかけると、企業からの印象は悪くなるため、内定取り消しの可能性が高まる ことに注意しよう。
入社に向けた準備を進めてしまう可能性がある
応募者に内定を出したら、企業は入社に向けて準備を始めるものだ。
入社日の周知、名刺の用意、席の確保、マニュアルの印刷、雇用契約書の準備…
名刺の準備など、入社準備の中には費用がかかるものもある。
内定保留後にあなたが入社を決めればよいが、内定辞退した場合や、企業が「内定保留するなら採用を見送る」つもりだった場合、問題だ。
- 企業に費用をかけさせたのに、結局「内定辞退」で無駄なコストになった
- 内定保留するなら別の応募者を採用するつもりだったのに、すでに費用をかけてしまったためできなくなった
- 入社に向けて急いで準備したのに、内定保留するならもっと時間的余裕があった
このように、企業へ迷惑をかけると入社後に居心地が悪くなる可能性があるので 、内定保留の意思は1日でも早く伝えること。
(2)必ず電話で伝える
内定保留というのは、どうしても言い出しづらいものだ。
- せっかく内定出してくれたのに…
- 怒られたらどうしよう…
- 内定取り消しになってしまったら嫌だ…
直接電話口で伝えるのが、少し億劫になる気持ちはわかる。
言いづらいためにメールで伝えたくもなるだろう。
しかし、マナー的にも心証的にも、メールで伝えるのは避けた方がいい。
内定保留の意思をきちんと伝えないことにより、ミスの報告や謝罪など、言いづらいことを直接言えない人だと思われる可能性があるからだ。
社会人としての評価が減点されるのは、いうまでもない。
メールで伝えたことにより、内定取り消しになる可能性も大いにあるので注意しよう。
また内定保留の意思を伝えるときには、具体的に「○日待ってほしい」ということをこちらから伝える。
待ってもらう期間は、2~3日が好ましい。長くても1週間にとどめること。
(3)3つ以上同時の内定保留は非常に危険
内定保留を聞いてくれる企業が多いからといって、3つ以上同時の内定保留は非常に危険である。
たとえば、2つの企業から内定をもらい、どちらに入社しようか悩む場合は問題ない。
自分にとって、より魅力のある企業への入社を決めよう。
しかし、3つ以上の内定を保留すると、内定承諾する企業以外の企業すべてに迷惑をかけることになる。
いくつもの企業に内定をもらっているのに、そのほとんどの内定を保留するということは、自分の軸がブレている可能性が高い。
そのままの状態で転職先を決めたとしても、入社してみたら「思っていたのと違う…」という事態になりかねない。
- 内定先のすべてが良く感じられる
- どの企業も一長一短な気がしてしまう
- 具体的には言えないが、何か引っかかる
このような場合には、自分の「転職先に求める基準」を再度明確にすること。
例えば以下のような基準が考えられる。
- 給与の高さ
- 労働時間の長さ
- 仕事内容
- 通勤時間の長さ
- 職場の雰囲気
応募書類を作成するときにも洗い出しているはずだが、自分はどの条件を重視するのかをもう一度はっきりさせる。
せっかくあなたを採用したいという企業が多くあるのだから、自分の条件にぴったり合った職場を選ぼう。
内定保留で企業の心証を損ねない3つの理由づけ
複数の企業に応募することを企業側も想定しているとはいえ、できるだけ心証を損ねないようにすることが好ましい。
内定保留の理由を聞かれて「第一志望の選考待ちなので… 」と答えるのは、あまり心証が良くない。
最後に、筆者の考える「心証を損ねない3つの理由づけ」をご紹介しよう。
前述の内定保留の鉄則と合わせて使うことで、安全に内定保留ができる可能性が高くなる。
- 家族に相談したいので…
- 面接を急に断ると迷惑をかけるので…
- 条件等について話を聞きたいので面談したい
極力心証を損ねずに内定保留し、第一志望の面接に全力で挑んだり、入社企業をゆっくり選ぶ時間を確保しよう。
家族に相談して決めたいので…
内定保留を希望する転職者が一般的に使う理由が、「家族に相談して決めたい」と伝えること。
この理由であれば、企業側も特に心証を損ねずに内定保留を受けてくれるはずだ。
- 家族も働いているかもしれない
- 忙しい事情もある
- 出張等で落ち着いて話せないこともある
それぞれの家庭によって事情も異なるため、家族に相談したいと言われれば、その場で返答しろということにはならない。
具体的な言い方例

ただ、入社のお返事について少し猶予をいただきたいと思っています。
私は貴社にとても魅力を感じており、すぐにでもお返事したいところではあるのですが、家族から「内定が決まったら詳細を聞きたい」と言われておりまして…
家族と相談し、あらためてご連絡させていただきたいと思います。
週末にならないと父が忙しくてゆっくり話せないので、○月○日までお待ちいただけませんでしょうか?
面接を急に断ると迷惑をかけるので…
別の会社の「面接の」予定が入っていることを伝え、急なキャンセルは迷惑になりそうだからと猶予をもらう。
この理由の場合、あくまでも「急なキャンセル」が迷惑になるというだけで、入社の意思はあることを伝える必要がある。
そうでないと、第一志望が他社だと思われる可能性があるからだ。
内定保留する企業の志望度が高い場合に使おう。
具体的な言い方例

すぐにでも入社の手続きを進めたいところなのですが、○日後に他社の面接の予定が入っております。
急にキャンセルすると先方にご迷惑をおかけすると思いますので、○月○日までお待ちいただけないでしょうか?
条件等について話を聞きたいので面談したい
最後にご紹介するのが、「面談の希望を伝える」こと。
この場合、労働条件等について入社前に聞きたいという理由が自然だ。
面談の日程を決めるのは、なかなか時間がかかる。
企業側の担当者も忙しいし、働きながら転職をする人も時間を作るのは難しいもの。
面談が「数週間後」という可能性もあり、かなりの猶予をもらえることも。
ちなみに「入社前に労働条件を聞きたい」というのは、内定保留するつもりがなかったとしても、実は大切なことである。
たとえば求人票の給与欄は「○万~○万円」と幅をもって記載されている。
入社を決めてから提示された給与額が生活費以下だったら、困ってしまうだろう。
実際に自分の給与額がいくらになるのかは、入社する前に聞いておくべきだ。
具体的な言い方例

面接では伺えなかった詳しい条件等について、お話しを伺いたいと思っています。
内定承諾のお返事をさせていただく前に、まずは面談を設定させていただけないでしょうか?
さいごに
- 内定保留は「普通」のこと
- 企業側も内定保留されることを想定している
- 中には内定保留したら「内定取消」になる企業もある
- 内定保留「3つの鉄則」
- 1日も早く伝える
- 必ず電話で伝える
- 3つ以上同時の内定保留は非常に危険
- 内定保留した企業に、迷惑が掛からないように配慮する
- 企業の心証を損ねない内定保留の理由づけ
- 家族に相談したいので…
- 面接を急に断ると迷惑をかけるので…
- 条件等について話を聞きたいので面談したい
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