円満退社のために!転職の引き止めにあった時に穏便に終わらせる方法

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無事転職先への採用も決まり、いよいよ今の職場に退職の意思を伝えて転職の準備に入る。

そのタイミングで現職の上司や人事担当者と話し合うことを一般的に「退職交渉」といい、通常は退職交渉が終わってから退職届を提出する。

退職交渉において押さえておくべきポイントは3つある。

  1. 業務の引継ぎ
  2. 引き止めへの対処
  3. 有給消化

会社とあなたとの間で働き方を定めている「就業規則」では、「退職の30日前に届け出すること」となっている会社が多い。

届出から退職までの日数が決まれば、業務の引継ぎや有給消化はスケジュールのやりくりの問題なので、ある程度見通しをつけることができるはずだ。

一方で、退職の意思を伝えて引き止められたらどうするか、という不安を持っている人は多いだろう。

引き止めには、対応の心構えとポイントをおさえて話を進め、上司や人事に納得してもらうことが大切だ。

法的には退職届を出して一定期間が経てば一方的に退職することも可能だが、これは出来る限りすべきではない。

また、あなたも円満退社を望んでいるように、採用した企業側もまた、出来るだけ早く就業して欲しい気持ちはあるものの、まずはあなたの円満退社を望んでいるのだ。

転職先の採用担当者として多くの退職交渉の相談に応じてきた筆者が、引き止めへの対応についてその心構えからポイント、手順などを具体的に紹介する。

今までお世話になった会社や上司に引き止められ、それを断るというのは心苦しいものだ。

しかし、終わりよければすべて良し、立つ鳥跡を濁さず、といったことわざの通り、社会人としてのけじめをつけてから次のステージで思う存分活躍するのがベストだろう。

この記事から引き止めへの対応のポイントをおさえて、円満退社を目指して欲しい。

もし、退職する時期などに迷っている方は下記記事が参考になる。

現職で引き止められても迷ってはダメ

まず前提として、現職で引き止められても「転職先の内定を辞退して現職に残る」という選択肢はない、ということを伝えておこう。

現職で引き止められても迷ってはいけないのだ。

引き止めに応じない方が良い理由は3つある。

  1. 条件や環境が大きく変わることはない
  2. 退職を伝えたことは元には戻らない
  3. あなたが持っている課題のほとんどは解決しない

3つの理由についてそれぞれ詳しく解説していこう。

(1)条件や環境が大きく変わることはない

あなたが退職の理由として考えたのはおそらく待遇などの条件面か会社の環境面のいずれかだろう。

そして、引き止めの際にこれらを改善するという話が出ても、こういったことが大きく変わることはほぼないと思って間違いない。

引き止めの際に必ず聞かれるのは「退職の理由」と「現職への不満」の2つだ。

そしてあなたを引き止めたいのなら、その理由や不満に対して「改善する、善処したい」という提案があるだろう。

例えば給与や賞与、配置転換や業務内容の変更などだ。

しかし会社には他の社員も働いており、公平性やルールを維持しなければならない一面もある。

あなたが重役、役員クラスでもない限り、改善されたとしても大きくは変えることが出来ないのが実情だ。

引き止めのために給与や手当の増額があったとしても、その会社の給与水準自体を変えられるわけではない。

退職を取り下げて残ったとしても、いずれはトーンダウンして帳尻を合わせることになるだろう。

働く環境であればなおのこと、会社のしくみや社風はそう簡単には変えられないものなのだ。

(2)退職を伝えたことは元には戻らない

当然のことだがあなたが退職の意思を伝えたことは、引き止めに応じたとしても、なかったことにはならない。

あなたが退職したいと伝えてきたことは、現職の上司や人事にとって「問題」であり、その問題の原因はあなたということになる。

念のため断っておくが転職や退職は悪いことでは全くない。

また、引き止めに応じても応じなくても、退職を申し出たことによって待遇が悪くなったり不利益をこうむったりするようなことはあってはならない。

しかし感情的な面からみれば、現在の職場でのあなたの居心地は悪くなるだろう。

部下が退職する時、上司はその理由や背景、今後の人員配置や補充などの対応まで、会社から問われることになる。

上司にしてみれば「参ったな、勘弁してくれよ」と言いたくなるようなことなのだ。

また、感情面でのしこりがなかったとしても、現職からみれば「またいつ退職したいと言い出だすか分からない社員」としてレッテルを貼られることになる。

よほどの成果を残さない限りこの状況を挽回するのは難しいだろう。

一度退職の意思を示したなら、激励の言葉で送り出してもらえるように上司や職場に納得してもらうことが、あなたにとって最善の選択といえるのだ。

(3)あなたが持っている課題のほとんどは解決しない

引き止めに応じない方が良い理由の中でも特に肝に銘じて欲しいのは、引き止めに応じてもあなたが持っている課題のほとんどは解決しない、ということだ。

  • そもそもあなたはなぜ転職しようと思ったのか
  • 転職先の採用を蹴ってまで現職で得られるものは何か

もし迷うことがあればこの2点について考えてみて欲しい。

こういった場合は紙に書きだしてみることをオススメする。

髪の中央に縦に線を引き、左に転職の理由、右に転職で得られることを思いつくまま書いてみて欲しい。

転職を考えた理由 転職によって得られること
・給与が低く、昇給幅も小さい
・気が付けば後輩たちと同じ仕事をずっとしている
・スキルアップしたい、チャレンジしたい
・通勤時間が長く自分の時間が少ない  など
・基本給が○円アップ
・経験を活かしながら新しい業務へのチャレンジがある
・資格取得の支援制度がある
・転勤の心配がなく通勤時間も短くなる
・上のポストやキャリアアップを狙える環境がある  など

転職を考えた理由は、そのまま現職であなたが置かれている状況だ。

ここに戻ったとして、これらを解決することが難しいということに改めて気が付くだろう。

あなたはこれらを解決したいから転職を選んだはずなのだ。

転職するかしないかが問題の本質ではなく、あなたの課題が解決するかどうかが肝心なのだ。

そのための手段が転職なのだということをもう一度よく思い出してみて欲しい。

引き止めに応じて現在の職場に戻るという選択肢はない、ということが分かるはずだ。

引き止めがあったときに上手にかわす方法

これまでに詳しく解説した心構えであなたの転職に対する気持ちはしっかりと揺るがないものになったはずだ。

ここからは引き止めがあった時に上手にかわす方法5つについて紹介しよう。

  1. 交渉は話の長さより回数で勝負する
  2. 退職交渉はドア・イン・ザ・フェイス・テクニックを使う
  3. 否定や反論ばかりにならない話の進め方をしよう
  4. 言わずに済むことは言わない方がいい
  5. 最終手段は「どうにもならない理由」にする

目指すのは円満退社、上司や職場が快く送り出してくれる現職でのゴールだ。

交渉は話の長さより回数で勝負する

退職の意思を伝えて、その1回で話が済めばあなたは相当運がいい。

特に引き止めがあった場合は、何度かの話し合いの場があることは覚悟しておこう。

そしてその何度かを上手に乗り切って引き止めをかわすには、1回1回の話し合いを短めに切り上げて回数で勝負するのがコツなのだ。

長い話し合いは結局同じ話の繰り返しになる

プライベートでも経験している人は多いと思うが、主張の異なる話し合いが長くなっても結局は同じ話の繰り返しで平行線だ。

このような状況ではお互いに疲れて感情的にもなりやすい。

また、あなたが真面目に退職の意思を伝えようとすればするほど「聞き分けのない人」という立場になる。

退職の話はほとんどが自分より会社での立場が上の人間と話すことになる。

単に上司の言うことに対して反抗的、聞き分けがないという立場で延々と話していても良い結果は得られないだろう。

話を短く切り上げるには一旦持ち帰りにすること

平行線の話し合いを長々としないためには、相手の意見を一旦受け入れて持ち帰りにすることがコツだ。

あなたの主張をし、理由を聞かれた後に必ず相手から何かしらの提案があるはずだ。

その提案に対して一旦「分かりました、一晩(数日)考えさせてください」と引くと上手くいく。

結局は退職するという主張は変わることがないのだが、いったん受け止めたことに対して人はそれ以上強くは出られないものなのだ。

当然だが一旦持ち帰ったことは「よく考えたのですが、申し訳ありません」と断ることにはなる。

しかし、その場で即答で断られるよりも、しっかり考えた上での結論となれば納得できる度合いが全く違うのだ。

退職交渉はドア・イン・ザ・フェイス・テクニックを使う

退職交渉においては交渉術でいうところの「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」を使うのが良い。

最初に大きな要求を出し、断られたら小さな要求に変えてゆき、本来の要求を通す、という交渉テクニックだ。

なぜこの方法が上手くいくのかというと、引き止めに対して強く出るのではなく、譲歩しているように感じさせることが出来るからだ。

目的を「1か月半後の退職」と「5日以上の有給消化」として例示しよう。

  1. 規則通り1か月後に退職、15日間ある有給消化もしたい
    • 「それは勘弁してくれ、退職も考え直してほしい」
  2. 引継ぎの期間を考慮して退職は1か月半後に延長します
    • 「それでも実質1か月は厳しい、後任を決めて引継ぎの時間も必要だ」
  3. それでは有給消化は5日で構いません、1週間は休ませてください

ここまでくると、現職の上司も「相手が譲ったのだからこちらも譲らないのは悪い」という心理が働きやすい。

あなたにしてみれば当初の目的が果たせているのでこれで充分、ということになる。

必ずしも都合よくいくとは限らないが、話し合いを有利に進めるためにはぜひ覚えておいて欲しいテクニックだ。

否定や反論ばかりにならない話の進め方をしよう

また、コミュニケーション全般にもいえることだが、自分の意見を通す時には否定や反論を出来る限りしないことがコツだ。

否定や反論には否定や反論で返したくなるのが人の心理なのだ。

上司や人事担当者に対して否定や反論を続けていくと水掛け論になってしまい話は進まない。

それでもすべて同意していてはあなたの主張が出来ないので、受け入れてから自分の意見を言う、ということを意識して欲しい。

NGな例

「給与は毎年昇給があったはずだし、○○さんの給与も決して低い水準じゃないだろう? 」

⇒ いえ、しかし賞与に関しては評価に対して低かったと感じています

否定しない例

⇒ はい、毎年の評価や昇給は良くして頂いたと感じています。

しかし給与の額が下がってもやはり新しい業務内容にチャレンジしたいというのが、今の正直な気持ちです。

ポイントは相手の主張に真っ向から反対のことを言わないようにすることだ。

それはその通りです、と答えておいて、今の職場が悪いということではなく、転職で得られることを説明した方が良い。

話しがぶつかり合う争点は出来る限り作らないで、かわすやり方が正解だろう。

言わずに済むことは言わない方がいい

転職を決めたいくつかの理由の中には言いにくいこともあるだろう。

例えばひそかに思っていた上司への不満や納得いかない会社のルールなど、そういったことは言わずに済むなら言わない方がいい。

いっそ言ってしまえば「嫌なら辞めていいよ」と、もう引き止められないかもしれないが、気持ちのいい退職にはなりにくいだろう。

また、会社のルールや慣例、給与や評価など、納得できないことがあっても、それはそこで働く社員が今後改善していくべきことだ。

転職理由のひとつだとしてもあなたが口にしてもそれはただの不満でしかない。

もし伝えるのであれば、具体的かつ端的に「~といった点は課題だとは感じていました」といった程度にとどめておこう。

それでも上司によっては、そういった部分の改善にもあなたの力が必要だから残ってくれないか、という話にもなりかねない。

どちらにしても言わなくて済むことなら言わない方が話し合いは上手くいくだろう。

最終手段は「どうにもならない理由」にする

ここまであなたへは「聞き分けのない社員」にならないよう、前向きで相手が納得のいく退職交渉について紹介してきた。

しかし、上司や人事の担当者には、ああ言えばこう言う、ではないが何を言っても言い返されてしまい、主張が変わらない人もいる。

そういう場合は最終手段として、嘘もある程度覚悟のうえで「どうにもならない理由」を使う。

実際私が転職の際にどうしてもうまくいかず、社長との面談にまで話がこじれた際にはこれを使った。

その時は、ストレスで身体を壊してもおり、治療しながらでいいと言ってくれる職場に転職を決めました、というものだ。

この時の職場は、

  • 経営不振で仕事量は多く賞与はなし
  • 社員を休職の状態で雇っている余裕はない
  • 長時間労働や休日出社は避けられない

といった状況だった。

上司や社長にしてみれば身体を壊した人間に残留してもらって長時間労働させるわけにもいかない。

また、このようにストレスフルな環境だったことは事実なので「どうにもならない理由」といえるだろう。

こうして納得してもらい、もちろん引継ぎはしっかりした上で、何とか円満退社までこぎつけたのだ。

ちなみにこの社長とは今も年賀状のやり取りがある。

悪質なものでなければ、最終手段では嘘も使いようと割り切って使う。

それでも誠意を見せるべきところを押さえておけばまず大丈夫なので安心して欲しい。

まとめ

転職先から内定をもらい、迷った時の心構えや対処について紹介してきた。

その場面になって慌てないよう、おさらいして振り返っておこう。

現職で引き止められても迷ってはいけない理由

  1. 条件や環境が大きく変わることはない
  2. 退職を伝えたことは元には戻らない
  3. あなたが持っている課題のほとんどは解決しない

このような時は、転職を考えた理由と転職によって得られることを並べて見ることをオススメする。

  • 転職を考えた理由から、現職であなたが置かれている状況が分かる
  • 転職によって得られることから、あなたの持っている課題が分かる

感情に流されず、自分にとってどちらが良いのかを冷静に見極めることが重要だ。

引き止めがあったときに上手にかわす方法

ここでは、引き止めを上手にかわす5つの方法を紹介した。

  1. 交渉は話の長さより回数で勝負する
  2. 退職交渉はドア・イン・ザ・フェイス・テクニックを使う
  3. 否定や反論ばかりにならない話の進め方をしよう
  4. 言わずに済むことは言わない方がいい
  5. 最終手段は「どうにもならない理由」にする

退職交渉はその1回1回を長話にしないよう、回数を重ねることで上手くいく。

また、現職に残る、という選択では退職を申し出る前以上に努力して結果を出すことが求められる。

居心地、という点から考えても原則としてはオススメしない。

ポイントを押さえて退職交渉に臨み、快く送り出してもらえる円満退社を目指して欲しい。

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Career Rules編集部

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